二月前半

2月3日


 僕は、イトーヨーカドーでレジ打ちのバイトをしています。ヨーカドーという店は、季節のイベントに実に力を入れるスーパーでして、クリスマスやお正月には特別にセールをします。



 そして、そのイベントごとに、バックルーム(店の裏側)にスローガンが張り出されます。「クリスマスケーキ目標○○台!」とか、「鏡餅売り上げアップ」とかです。



 そして、今日は節分。豆まき関連の商品と、太巻きあたりの売り出しに力を入れるようですね。で、今回のスローガン。



 「二月三日節分 鬼のような価格」



 売れないと思います。
 

2月4日


 今日一緒にレジに入ったお兄さんが、お客様に向かって言った言葉。



「お会計、ちょうど5259円になります」



 なんか思い入れでもある数字なんでしょうか、5259。
 

2月5日


 ずいぶん前の話なんですが、こんなことがありました。お客に、ボリューム満点の外人女性を連れた、悪人面したおっさんがやってきました。服装の趣味の悪さといい、まあ、まっとうな勤め人ではなさそうです。



 しかし、客は客。ヤクザ屋さんかもしれないからって、ひいきすることも恐縮することもありません。どのお客様にも公平に接するのが接客業というものです。んん、でも怖い。さっさと終わらせちゃおう。



 さくさくーっと商品を通して、お会計は8000円ちょい。



「お会計〜円になります。ポイントカードはお持ちですか?」



 こんな客がポイントカードなんて持ってるわけないだろうけど、一応決まりなので聞いておかないと…



「…忘れた」



 あるんだ!?(←この時点で半笑い)



「忘れたけど、レシート持ってれば後でつけてもらえるんだろ?」
「はい、本日中でしたら、レシートを持ってサービスカウンターのほうに…」
「よし、明日来る」
「いえ、あの、ですから、今日中じゃないと…」
「うるせぇ!一日に二度も来るわけねぇだろ!!」



 いや、そんな顔で言われましてもね、確かにとっても怖いんですけど…100円につき1ポイントなので、今回のお買いあげでは80ポイントがつきますね。んで、1ポイント=1円です。



 たった80円のために大声張り上げてるってことに気づいてるのかなぁ、この人。



 あと、そこの一緒にいるお姉ちゃん。切れてるおっさんを見てうっとりした顔しないでください。日本語わからないのかもしれませんけど、この人、80円のためにぶち切れてるんですよー?



 んで、そのおっさんは、さんざんわめき散らして「絶対明日来るからな!」と言い残し、レシートを置いて去っていきました。



 笑いこらえるの大変でした。
 

2月7日


 友人「大人のふりかけって何が大人なわけ?」
 僕「媚薬だろ」
 友人「マジで!?」



 こう、上品なバーとかでお酒を飲んでいて、彼女が目を離した隙に、ささっとふりかけるわけ!お酒に!



 力説しすぎて変な目で見られました。
 

2月8日


 田舎の庭で、落ち葉を集めてさつま芋を焼いていた。漫画なんかで見たことはあっても、実際にやったことなどない。ちょっと、わくわくした。



 竹串を、芋に突き刺す。まだ少し固い。あとちょっと。あとちょっとだけ、待とう。



 …よし、そろそろいいだろう、と、はやる気持ちを抑えながら芋を取り出そうとしたその時。



 持病の金縛りが…!



 なんてことだ!はやく、はやく取り出さなくては、芋が焼けちまう!くそっ、くそぉぉっ!!動け、動けぇぇぇぇぇっ!!!





 ……というところで目が覚めて、ふと頬に手をやると、一筋の涙が。



 泣くほどの夢か、ばか。
 

2月10日


 こういう考え方は、間違ってるとは思うんですけどね。



 (一月の給料−親に渡した金)÷総労働時間=時給



 この理論でいくと、今月の時給。



 マイナス22円



 (78000−80000)÷90≒22



 ふむ、実に面白い。
 

2月12日


 あー、白馬の王子様、来てくれないかなぁ。
 「なんで男のお前がそんなことを?」
 いや、だってもう、白馬の王子様って、世界中の女性の憧れなわけでしょ?
 「まあ、そんなこと言う人いるみたいだけど。だからなんだっていうの」
 女余ってないかなって。分けて。
 「……」

 

2月13日


 ヨーカドーにはポイントカードというものがあります。これを作って会計の時に出すと、100円につき1ポイント貯まっていきます。1ポイントは1円と計算して、好きな時にたまってるポイントを使えます。ようするに、1%還元ということですね。



 だいぶ前の話なんですが、こんなお客さんがいました。五十代くらいのおっさんです。



 「ポイントカードはお持ちですか?」
 「持ってないけど…なんなんだ?ポイントカードって」
 「(説明)」
 「なんだ、たったの1%か。そんなの、大の男が持つようなもんじゃねぇな」



 …これってようするに、1%じゃ作らないけど、10%だったら作っちゃうかもってことですよね。それって逆に男らしくない気がするんですが。それよりも、



 「なんだよ!たったの1%かよ!で、どこに行けばそれ作れるの?」



 こういう大人になりたいです。
 

2月14日


 中学の頃とか、クラスに一人は、男子全員にチョコを配る女子っていませんでしたか?僕の経験からいくと、そういうことをする女性はたいてい、なんていうか、その、げふんっげふんっな顔もしくは性格をされてらっしゃる方なわけですけど。



 で、そんなのもらっても、あんまり嬉しくないわけですよ。ごめんなさい、訂正、全然嬉しくないんですよ。ただでさえ、好きな人からはチョコもらえなくて落ち込んでいますしね。



 で、仲良しの男子数人で集まって、話してたんですよ。「このチョコ、どうする?」って。なんとなく、食べる気もしないんですよね、何故か。



 そこで、誰かがぽつり、と。



 「投げる?」



 ええ、その後の光景はそれはそれは見事なものでした。次々と空に舞う手作りチョコ。中学三年の話ですから、受験の不安とストレスを全て手作りチョコに乗せて遠くへ投げ捨てたわけです。



 …と、そんな思い出を、高校の友達と話してたんです。みんな口々に「ひでぇよ」とか言ってたんですが、一人が、こんなことを言い出しました。



 「いや、俺もそういうのやったよ?」
 「え、マジで?投げたの?」
 「投げてはいない。ちょっと頑丈な紙で、舟を作ってさ。
 チョコ乗っけて川に流した」



 悪魔だ。