二月前半

1月31日


「みんなには、内緒でお願いね」
「OK。このことは、俺の胸先三寸におさめておくよ」
「…え?」


 ずいぶんと長い乳首ですこと。
 

2月1日


「一人横綱って、変じゃない?」
「どこが?」
「なんか、ひとり相撲を極めた男、みたいでさ」
「あー」
 

2月2日


 去年の十一月から小さなスーパーでバイトをしているのですが、店長にひどく気に入られています。


 「人生で一度は言われてみたい言葉」というのは、誰にでもあると思います。好きな漫画やドラマの台詞だったり、歌の歌詞だったり、いろいろあるとは思います。


 僕なんかは、わりとベタベタな台詞やシチュエーションが好きだったりするので、ありがちな台詞に憧れているのですが…


 ある日、書類仕事がたまっているとかで、店長が売り場に出られないことがありました。なので、普段は社員がやる仕事を、ほとんど僕がやりました。そして、たまった仕事を終えて、店長が売り場に戻ってくると、僕をさかんに褒めだすのです。


「いやー、さすが彬君、ここまでやってくれるとはね!」
「ここだけの話だけど、彬君は今までこの店で雇ったバイトの中で、五本の指に入るね。間違いないよ」


 まあ、こんなことを書くと、よっぽど僕が優秀なのか、というふうに聞こえてしまうでしょうが、実際はそんなことはありません。この店長は、「使えない、口だけ、不思議な体臭がする」という三重苦をかかえたダメなおじさんなんですね。ようは、他人を褒めることで、自分をアピールする、という人なんです。


 というわけで、このあと言われた台詞も、このおじさんが、自分を持ち上げるために言ったわけなのですが…


「彬君は、俺の若い頃にそっくりだな」


 この台詞を渋い素敵なおじさまに言われたらどれほど嬉しかったことかー!!!(例:ユパ様)


 なんですか!? 僕もこんな不思議臭を発散するダメな大人になるんですか!? いやぁー!!



 ――数日後



「彬君、俺、娘がいるんだけどね。彬君みたいな人にならお嫁にやってもいいなぁ」


 だーまーれぇぇぇ!!


 あまり気に入られるのも困ったもんです。
 

2月3日


 今日はチン毛の話なんですけども。


 …全国六千万人の女性を一瞬にして敵に回すスタート、見事です、自分。バレンタインに向けて一直線ですよ!(どこに)


 ちょっと説明しづらいんですけど、頑張って想像してみてください。コンポなどのスピーカー部のカバーって、網みたいになってるじゃないですか。僕の持っているMDステレオでは、あの部分が網ではなく蜂の巣みたいにボコボコ穴が開いているんです。色は半透明、半径は3ミリくらいで、スピーカーとそのカバーの間に、数センチの空間があります。


 話は変わりまして、僕の部屋はカーペットを敷いているのですが、じぃっと見つめてみると、からまってるんですね、チン毛やら髪の毛やらが。ちょっと部屋の掃除を怠ると、それはもうとんでもない数の毛が散乱することになるわけです。


 で、そろそろ掃除しないとなー、なんて思いながら、ふとMDステレオを見てみると、なぜかスピーカーとカバーの間の空間にチン毛さんが。


 どんな超常現象が起こると、あのぐにゃんぐにゃんした毛が半径3ミリの穴に入るんだ…? 僕は考えました。そして、結論は、


 チン毛は動ける。


 大変です、たかが毛だと思ってなめていました。ヤツは動くのです、にょろりと。僕らが寝静まると動き出すのですよ!


 こうなると、一体どんなところまでチン毛が移動しているかわかりません。そう思い、部屋中がさごそ探してみたら、セロハンテープにくっついているチン毛さんを発見しました。


 えー、そのセロハンテープは、パソコンラックの上に置いてあったものです。


 空も飛ぶのかチン毛ー!?


 もう夜怖くて眠れない。
 

2月6日


 なんでも適当な英語にしたがる人がいましてね。


「しかし、どうなんだろうね、今回の芥川賞」
「話題作りっしょ、ただの」
「でも、19歳の作者のほう、可愛いよね」
「あー、キック・オブ・ザ・背中のほう?」
「は?」


 ええ、僕ですよ。
 

2月7日


 誰ですか、こんな検索ワードでこのサイトを探し当てた、特殊性癖をお持ちのお方は。


 「長い乳首」


 もう、サイト名これにしちゃおうか。
 

2月9日


 ダイドーの飲料で、「炭烏龍」というウーロン茶があります。このお茶の売りは、以下の三つ。


 @備長炭の浄化パワー:説明省略
 A痩身・美容の天然素材:説明省略


 Bマイナスイオンラベル:マイナスイオン発生量の高い天然鉱石粉を独自製法でラベルに刷り込みました。


 まあ、いいですよ、ここまでは。チャレンジっていうのは、してみるもんですよね。でも、この次が許せない。


 (製法特許出願中)


 なんだその、してやったり、って感じは。
 

2月10日


 たった今、テレビを見てたら簡単な星座占いをやっておりまして、何座だか忘れましたが


「善は急げ! アタックは午前中に」


 なんだろうこの違和感は。
 

2月13日


 客観的な事実というものは、時に残酷なのですね。


 明日はバレンタイン。しかし、例年のごとく、当たり前のように予定はなく、突発的なイベントが起こりそうな予兆もなく。


 何故だろう? …いいえ、自問するまでもないのです。理由はいくらでも挙げられます。しかしそのどれもが、わりと小さな理由であって、それ一つだけでは決してこのような結果につながるほどの決定力はありません。一つ一つの小さな理由が山ほど積み重なって、今の自分はこんな状況にあるのだ…


 ついさっきまで、そう思っていたのです。自分に大きなキズはない、と。そう、この、アクセス解析のデータを見るまでは。


 一日に一人は「長い乳首」でこのサイトを検索している人がいる。


 どうやらこのサイトは、僕にとって致命傷であるようですね。うん、カカオなんて絶滅すればいいのに。
 

2月14日


「カーカオカカオカカオ!!」
「なっ、妖怪カカオ喰い!?」











 ここまで書いて、どうしようもない絶望感に襲われました。ま、カカオって連続に書くとオカカに見えてくることに気づいただけでも良しとするか。良いわけあるか。